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シラルガンのミルクポット

以前は合羽橋が近かったので、道具好きの私は通勤途中に休日にと、しょっちゅう通りを冷やかして歩いていた。
あるとき、店のショウウインドウで、鮮やかな黄色の、丸くぽってりとした姿を見た。
生憎店は閉まっていて手に取ることができなかったが、あれはなんだろう、なんて可愛いんだろうとどきどきした。

あのひと目惚れから幾星霜。晴れて我が家に黄色いミルクポットがやってきた。

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ポットといいながら注ぎ口がない。では鍋かというと、もち手はやはりポットそのもの。
購入前の下調べでは、いろいろとその利点が並べられていた。
熱伝導がよく、お湯がすぐに沸く。注ぎ口の水切れがいい。水がまろやかになる……。
正直なところ、いずれも私は半信半疑だった。このミルクポットはドイツのシリット社というところから出ていて、シラルガンは同社独自の重く、ぶ厚い素材である。注ぎ口だって醤油さしや急須でも漏れるものがあるくらい、繊細で難しいものだ。水がまろやかに至っては、健康食品の宣伝じゃないんだからくらいに思って、まったく信じていなかったといっていい。
ただ、ひとつだけ確かだったのは、その見た目がものすごーく好みだということ。
可愛いものは嬉しい。たとえ少々出来が悪かったとしても……!
そんな思いでポットが届いた日、さっそく実際に水を入れて使ってみた。

結論としては……
悔しいけれど(?)たいへん、優秀。

お湯が沸く早さは、試しにこれまた底が広くて早く沸くとされる柳宗理のやかんと比べたところ、ほとんどかかる時間は変わらなかった。注ぎ口はなく、いわばどこからでも注げるのに不思議にキレがよく、湯の量を少なめにすれば珈琲もいれられる。そしてまろやかというのも、驚くべき事実。珈琲も味噌汁も味が違う。ご飯を炊けば、ほんのり甘い。

やかんや厚手の鍋でできることは大抵こなせる器用さながら、器用貧乏に陥ることなく快適なのは、気軽に使える大きさと洗い易い形、きちんとしていながら手入れの楽な素材という、実用的なところがしっかりしているからだろう。ひとつ難点があるとすれば、やはり重さ。慣れればなんということはないが、なかには慣れられない人もあるかもしれない。
保証は10年間。見た目だけではない、これでこそドイツの製品という気概あるミルクポットである。

by TokyoRomanTheater | 2011-10-20 10:42 | 日々のこと

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