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玄米と圧力鍋

少し前、家人が職場の健康診断に引っかかった。それもひとつではなく、あっちこっち。
再精密検査、なんてもんを受けることになり、CTを撮ったり、内視鏡を入れたりの大騒ぎで、結果が出るまでは本人はもとより、我が家の給仕係であるところの私も、なんとも居たたまれない気分で過ごした。

人間、健康第一。誰しもわかっていながら、養生ばかりもしていられないのが生活というものだが、今回のことで自分達の身体に入れるものを、何となくではなく少し意識してみるくらいのことは、しなければならない年齢に来ているのだという思いを強くした。

以前から時々、玄米を炊いて食べるということをしていた。浸水時間を長く取るだけで、ほとんど白米と同じように南部鉄器の羽釜で炊いていたが、ちょいと硬い。玄米とはそういうものだと思っていたのだが、この頃玄米でもふっくらもちもち、おこわのような食感に炊けるという話をよく耳にする。白米と混ぜなくとも食べ易いのなら、是非試してみたいと思った。

白米では精米の過程で除かれるぬかがついたままの玄米は、栄養価は高いものの残留農薬が気になる。そこで、試しにJAS認定の農家さんから玄米を買ってみることにした。2.5kgずつ真空パックされているので、消費ペースの遅い我が家でも安心して保存できるのがありがたい。

さて、それからは羽釜でひたすら試行錯誤の日々。蒸らしの時間や水の量など、色々替えて試したけれど、どうもうまくいかない。硬いと噛む回数を増やすことにはなるが、それにしても身をもって消化が悪いことがわかる。健康のために玄米を食べようとしているのに、お腹の調子を崩しては本末転倒。私は白米を炊かせたら安い米でも格段に美味しい羽釜の限界を感じ始めていた。

やはり圧力鍋なのか。
圧力鍋を使えば玄米がもちもちに炊けるとはよく聞く話だが、私は使ったことがない。実家でも母が時折出してきて使う大型の圧力鍋のシュンシュンするのを、なんとなく怖い思いで遠巻きに眺めていた。とても自分に使いこなせるとは思えないし、これまで一度も圧力鍋の必要を感じたこともなかった。
去年の今頃にストウブの記事を書いた折、同い年の友人のisicaちゃんが圧力鍋に悩んでいるというコメントをくれた。圧力鍋か、大人だなぁと感心したものだが、まさかちょうど一年後に自分が圧力鍋の購入を検討することになるとは思ってもみなかった。。。

それからは閑さえあればあちらこちらへ圧力鍋を触りに行き、話を聞き、実演を見た。最終的に絞り込まれたのはisicaちゃんも愛用のフィスラー・プレミアムと、先日ミルクポットのことを書いたシリット社のシラルガン。

プレミアムはまず、低圧・高圧に加え、超高圧という圧力設定が魅力だった。玄米をもちもちにするには、高い圧力をかけるのが必要と聞いていたから。さらに、艶消しで直線的なデザインと、簡単にバラして洗えるという実用性にも心惹かれた。
シラルガンは一番最初にこれかな、と直感した圧力鍋だった。ただ、色数は豊富ながら、プレミアムに比べるとデザインが今ひとつ。パーツをバラして洗うこともできない。しかし、シラルガン素材はステンレスにはない遠赤外線効果で、玄米をふっくらさせると云う。
圧力の高さなのか、遠赤外線効果か。道具は使ってみなければわからない。。。
考えあぐねていたときに、ミルクポットが来た。
これが思った以上に私には合い、一気に我が家の台所道具のスタメンを獲得し、毎日二度三度の出番がある。熱効率も確かにいい。
そしてタイミングを計ったかのようにシラルガンから新製品が出た。今度のはレバーがダイヤル式になり、取っ手を外して洗えるのである。
このタイミングでここまでしてもらったことで(笑)、揺らいでいた心がぐっと定まった。
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初めての圧力鍋での炊飯は相方と固唾をのんで、せーのでふたを開けた。ぽこぽことかに穴が開いたご飯をざっくり混ぜると、しゃもじに米粒が粘りついた。こんな一見当たり前のことが、羽釜で炊いた玄米では起こらずに毎回残念な思いをしていたので、少し感動した。
食べてみると、おこわとまではいかないが白米と大差ない柔らかさに玄米特有の香りと甘みがあり、口の中に残りがちな皮っぽさもない。これなら続けられそうだと心から安堵した。心配していたお腹の調子も、問題はないようである。
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期間としては大したことはないが、長い道のりだった。
今のところ、大きな失敗はない。小豆を入れたり水加減を変えたりしながら、ちょうどいい塩梅を模索している。これはこれでなかなか愉しい。参考にしているのはこのレシピ。

少し思い詰めやすいところがあるので、ひどいときには夢のなかでも圧力鍋に悩んでいた。方々の口コミやブログ、書き込み等を拝見し、参考にさせてもらったが、玄米炊飯用の圧力鍋選びに悩む人が多いのも頷ける。
長い記事になってしまったが、この記事がそんな誰かのお役に立てたら嬉しく思う。

by TokyoRomanTheater | 2011-10-27 12:33 | 日々のこと

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